犬のいる暮らし
2007年にイタリアングレーハウンドのシャマルがわが家にやってきました。
その翌年の2008年に同犬種のカリフを迎え、それ以来ずっと私達と一緒に毎日事務所に通っています。お兄ちゃんのシャマルは少し臆病だけどまっすぐな性格、弟のカリフはひょうきんで甘え上手。持って生まれたキャラクターを存分に発揮して、所内の雰囲気を和やかにしてくれています。
私達はマイホームが完成してから犬を迎えたので、実はペットのことを考慮した設計にはなっていません。犬と暮らし始めて、犬と暮らすことが分かっていればこうしておけばよかったなと思ったことをお話ししたいと思います。
まず一番大事なことは、風の流れです。犬のトイレの場所は皆さん工夫して、リビングの片隅みや納戸の一部などに作られているかと思います。家具の配置や部屋をやりくりしてトイレを設けても、その場所に換気扇が設置されていない事が多いはずです。臭いを気にせず快適に過ごすためには、風の流れを考慮することが必要です。リビングの窓から風を取り入れて、トイレ近くの換気扇を通して外に排出するという風の流れです。家全体で効果的な風の流れを作ることは、臭いだけでなく結露やシックハウスなど、家を健康に保つためにも大切です。
次は陽だまりです。犬種によって違いはあるかもしれませんが、イタリアングレーハウンドは陽だまりが大好きです。ですから1日を通して陽が当たるところに心地良い居場所を作ってあげたいと思います。
朝・昼・夕と陽の差す方向が変わりますから、時刻に合わせて居場所を移動させながら過ごせる場所があればそれに越したことはありません。私達のオフィスは東西に長い平面形状ですが、東と西の窓に面して長いベンチシートを造り付け、その一部を犬の居場所にしています。午前中は東の窓、午後は西の窓から日差しが入るので、犬は心地良い場所を見つけて自由に移動しています。ベンチシートは床から40cm高くなっているので、冬場の足元廻りの冷え込みに対しても快適に過ごすことができます。
最後に材料です。滑らなく且つ素敵な床材を探している方は多いと思います。私達もよく相談を受けます。最近はペットに配慮した滑らない床材や塗料なども各メーカーから出ていて色々と比較・研究してみましたが、万能ですばらしい材料というのはなかなかありません。
ちなみに私達の事務所はタイルカーペットを敷いていますが、これは滑らなくてとても良い材料です。パピーの頃は運動会のように走りまわっていましたが、特にトラブルもなく過ごすことができました。ただし、マイホームにタイルカーペットというのはイメージ的に気が進まないという方も多いかもしれませんが、外国製など色や種類がとても豊富になってきています。また、スウェーデンのボロン社の塩ビを織り込んだ床材は、長尺物や500角のタイル状の物など色や種類が豊富で、ペットフレンドリーな材料として注目されています。下にラバーシートを貼ることでクッション性も確保できます。
我が家の床材はというと、36㎜の厚い無垢の杉板を使っています。宮城県のくりこま高原の間伐材を燻煙加工した材(床材を燻したもの)を使用しました。安価で足ざわりがやさしく、木を燻煙した良い香りがします。床暖房対応のフローリングではありませんが、燻煙加工してあるので比較的反りにくいという事もあって、実験的に床暖房を設置した部分に採用しました。杉材は柔らかいので傷が付きやすいのですが、ナラやチークなどの堅木に比べると滑りにくく、クッション性もあります。我が家が完成してから18年経ちますが、隙間や犬のひっかき傷はあるものの、それも愛着となっています。