等々力テラス

DATA

本計画はスケルトン・インフィルのコーポラティブ方式のテラスハウスである。
計画地は等々力渓谷からほど近く、周辺は戸建て住宅やテラスハウスなどが建ち並んでいる。近くにお寺や神社の自然が残されており、土地区画も比較的ゆったりとしたままである。
そんな自然が残されている環境を好む6世帯が集まり計画が始まった。

建物を分節化する
スケルトンにおいては周辺環境に合わせるため、建物を戸建て住宅のスケールに分節化した。特に北側のボリュームは地上2階に抑え、近隣住戸への採光に配慮した。路地とアプローチ階段によって建物にすき間を設けることで、各住戸の壁を極力外気に面するようにし、自由な採光や通風を可能にした。それにより路地に視線的な抜けが生まれ狭小感を無くし、採光の確保にも役立った。路地とアプローチ階段によりできた住戸間の距離は、窓の位置や大きさを調整することで各住戸の生活のプライバシーを確保しながら、住戸間に程良い係わりをもたらすように配慮した。

外部空間を取り込んだそれぞれの住空間
外部空間と内部空間をどう繋げるかは本計画において大事なポイントになっている。分譲マンションにみられる画一的なバルコニーでは無く、各住戸において独自の外部空間との係わりができるように配慮した。特に換気が滞りがちな地下居室は、できる限り幅の広いドライエリアを設けることで、外部空間も含めた広がりと居住性を確保した。それによりプライバシーの確保のしやすさを付加価値とすることができた。1階の居室はそれぞれが独立したプライベートな小さな庭を持ち、2階の居室は独立したテラスを設けた。屋上に面する2住戸は分節化したボリュームをそのまま利用し、独立性した外部空間とした。

自由なマド、マドリ、ミズマワリ
スケルトン・インフィルにおいていかにインフィルに自由度を持たせられるかが重要になってくる。インフィルの自由度を求めてスケルトン・インフィルの集合住宅を希望する人がほとんどだからだ。窓の位置や形状、大きさまですべて自由にし、建物全体として耐力壁の壁量を調整しながら設計を進めた。当初は開口部を違う住戸と調整することは困難なことだと想像したが、実際には比較的スムーズに決定していくことができた。間取りについては水廻りの位置も含めてすべて自由にした。外壁や界壁を耐力壁とし、ヴォイドスラブの採用により下階に梁が露出しないようにした。下階は梁の位置に合わせて間取りを考える必要が無い。それにより各住戸において大切にしている空間に重きをおいて住人の個性を生かしたインフィル設計が実現できた。

所在地 :東京都世田谷区
敷地面積:327.37 m2
建築面積:133.14m2
延床面積:475.80 m2
主要構造:鉄筋コンクリート造
規模  :地下1階 地上3階 塔屋1階
企画  :アーキネット
施工  :富山工務店
写真  :上田宏

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