DATA
上智大学 9号館カフェテリア アクティブ・コモンズ
上智大学9号館の地下1階にあった愛称「9カフェ」のリノベーション。
今まで親しまれてきたカフェテリア機能を維持しつつ、新たに学生たちに開放される『アクティブ・コモンズ』機能を兼ね備えた空間を作ることがリノベーションの目的となった。
かつての「9カフェ」は地下にあることで薄暗い雰囲気で、吸音対応が十分でなかったこともあり、学生たちの声が響いたり、集会での音声ヒアリングも聴きにくい空間であった。また大きな空間が存在するものの、学生たちの目的に合わせた「居場所」を作りにくい環境であった。
このリノベーションでは上記環境の改善と新たな場の創造が明確な目標となった。新たなアクティブ・コモンズ空間は明るい木質系材料を採用し、照明においても明るさに余裕を持たせ、かつてあった9カフェの雰囲気を払拭した。天井は温かみある天然木無垢ルーバーを採用し、その間を抜けた音が天井内の黒い布で巻かれた吸音材でしっかり吸音するように工夫し音の反響はかなり軽減され、学習環境としてもとても良くなった。床材は木質柄の長尺シート、壁は明るい白を基調としている。そして地下の中庭の樹木の緑もアクティブ・コモンズでは大きく貢献するように空間の連続感を作り出した。家具計画においても、みんなで集まって話し合える場、少数で検討する場、静かにひとりで学習できる場をそれぞれの目的に応じて配してある。また9カフェとしてカフェテリアも新たに充実させ、美味しい軽食や飲み物も楽しむことができる。地下のアクティブ・コモンズの存在は上智大学生は知るところであるが、メインの外部学生動線からは少しわかりにくかった。そこで9号館の1階ピロティの床を無くし、地下のアクティブ・コモンズの存在を容易に視覚化できるようにした。そしてバリアーフリーの観点からも、1階と地下1階を結ぶガラスで覆われたシースルーエレベーターを新たに導入し、段差部においては緩やかなスロープを設け、学生たちにも優しい環境を整備した。
所在地:東京都千代田区
改修面積:989m2
施工:きんでん
共同設計:上野・藤井建築研究所