DATA
日本建築家協会JIA・2015年度JIA優秀建築選(100選)受賞
社会福祉法人 筑波会
児童養護施設 筑波愛児園
筑波愛児園はつくば市の緑豊かな田園風景の中に建っている。40人の子供たちが自然に囲まれた中でのびのびと生活する家である。建物は3つのグループケアユニット棟(2ユニットで1棟)、事務・地域交流・心理療法棟、親子訓練棟で構成されている。それぞれの棟は楕円の回廊によって繋がっている。分棟ではあるものの囲まれた中庭を介して、各棟を見渡せ、子供たちの生活を見守れるように配置してある。この建築群はいくつかの家や建物が集まってできた街(集落)をイメージして構成されている。
ひとつのグループケアユニットは6・7人の子供たちが生活する家であり、ふたつのグループケアユニットが結合してひとつの棟を形成している。ユニットの中心にあるダイニングは4周にハイサイドライトを設け、外部空間のように明るく開放的な空間とした。その壁にレッドシダーの下見板を張ることで、屋外的な雰囲気を作った。ダイニングを子供の個室が取り囲むように配置し、より子供たちの様子が見守りやすいようになっている。夜はハイサイドライトから温かい光が漏れ、家に帰ってくる子供たちにとっても温かみのある風景になることを意図した。
事務・地域交流・心理療法棟は1間モジュールによるシンプルな構成として、2階の地域交流ホールは水平力を負担するコアのうえに格子状に組んだ梁を掛けることで、木造ながら大きな空間を作った。また外周に回したアルミの小庇(特注金型押出成形材)は、夏の陽射しを遮ってくれると同時に、建物の外壁に陰影を与えてくれる。
親子訓練棟は3つの家が連続したかたちとし、より家庭的でゆとりのある空間とした。またそれぞれの家の天井高さを変えることで、各空間に特徴を持たせた。
エントランスゲートや駐輪場も建物と同一の外装材とし、施設全体として統一感を感じられるデザインとした。
所在地 :茨城県つくば市
敷地面積:7,402.54 m2
建築面積:1,439,58 m2
延床面積:1,611.62 m2
主要構造:木造 一部鉄骨造
規模 :地上2階
施工 :成島建設
写真 :上田宏 浅田美治